何気なく顔に手を当てると、水が滴っていた。
……なに、これ……。
……なんだっけ、これ……。
ぺたぺた顔を触ると、その水の出どころは、両目だった。
今もなお、その水の流れは止まらない。
この感覚は……、涙。
ああ、私、泣いている。
涙腺が刺激されて、泣いている。
泣ける。
悲しくなんかない。
嬉しいのだ。
泣けることが嬉しくて、涙がとめどなく溢れてくる。
嬉しくて泣いたことは、これが初めてだと思う。
泣けることは、生きていていいんだよと言われているみたいで、そのまま私の生に直結している。
この涙を、私に涙を、生きることをくれたのは……?


