いいことである予感より、悪いことの方の予感が働いた。
恐ろしい程の無表情をたたえた顔が、近づいてくる。
ただひたすらに怖い。
さっきまであれだけ出たはずの声が出ない。
恐怖で歯がカチカチ鳴り、呼吸は荒くなってヒュッと喉が鳴る。
その瞬間、後頭部に手が回された。
いや、正確には珍しくポニーテールに結んだ髪の毛を掴まれた。
どんどんゴムが緩んでいくのが分かる。
……止めてよ。
なのに、いともたやすくゴムはほどかれ、長い伸びきった髪の毛が空中に放たれた。
「……なに、するの……?」
目の前の彼は不敵に笑った。
「決まってんだろ。
ヤるんだよ。」


