「ずっと、本当はいじめなんか受けたくなかった。
始めは、庇ったことで自分が代わりにいじめられることの理由が分からなくて、仲が良かった子も離れていって、昨日まで出来ていたことが出来なくなって、なんで?って思った。
悔しくて、悲しくて、言葉では尽くせないほどの思いが毎日毎日溢れかえっていた。
最初はやられたらやり返してやろうとか思って心が折れないように保ってきた。
……でも、気付いたんだよね。
やり返して状況が酷くなるくらいなら、最初から相手に逆らわなければ、大人しく従っていれば、機嫌を損ねなければ、私は今よりも酷くいじめられることはないって思って。
それから、私は反抗することはみっともないことだと反抗することを止めた。
……だけど、それは言い訳だった。
自分の惨めさをこれ以上、晒さないための単なる自己防衛だったんだよ。
本当の気持ちは、いつも泣いていた。
でも、そんなのは自分の気持ちじゃないとそういう弱い気持ちは、全て無視してきた。
そうしているうちに、本当の私は見えなくなっていって、自業自得だった。
……もう、逃げたくないんだよ。」


