「無理!
私、何があっても今ここで死ぬわけにはいかない!」
フェンスの内側に戻る時は、さすがに何もされなかった。
広い地面に足を着けた時はとにかく安心した。
「なんで死なねえんだよ!」
思わず息を呑んだ。
初めて上村さんが声を荒らげたところを見た。
「私、生きないといけないの!
お母さんとお父さんが火に飲み込まれる時、約束したの。
『お父さんとお母さんがいなくなっても生きていけるよね』って。
その時、私は泣きながら出来るって答えた。
だから何があっても、死ねない。
今はまだ、生きるの。
死ぬには早い。
……ごめんなさい、上村さんの希望には添えない。」


