一応、クラスの人にもお世話になったから、お礼を言おうと向き直った。
声が出なくなるかとしれないという予想に反して、すんなり言葉が出た。
「4月から、8ヶ月間ありがとうございました」
「いいからさっさと死ねよ」
上村さんは相変わらず尖っているな、といつも通りで安心した。
夏希は、何も言わなかったし、目線も合わせようとしなかった。
どう思っているのかは分からない。
気持ちが、すごく凪いでいた。
あれだけ怖かったはずの死が、温かい大きなものに思えた。
魅力的にも、美的にも、感じなかった。
ただ、穏やかなものが待っているという確信だけがあった。
さあ、飛ぼう。別れは告げた。


