帰ろうかと、鞄を持って立ち上がった。
誰もいないことを外の気配で感じて、ドアに手を伸ばす。
ドアを開けようとしたその時、足音が聞こえた気がした。
ついでに言うと、呼吸をしているような気もする。
ちょうど、床と上履きのゴムが擦れるような。
……ここで試験を受けていたと知っているの?
他学年に知られているならまだましだ。
でも、同級生なら。
鞄を持つ手がかくかく震えだした。
どうしよう。
ここでテストを受けていることは、雪村くんでさえ知らない。
もしも上村さんに見つかったとしたら、私は誰にも助けてもらえない。
……いや。もう見つかっていた。
昨日の放課後、とっくに見られていたんだ。
がっつり目も合っていたのだ。


