数学の問題を解いていると、電話が鳴った。


もう誰だか考えるよりも先に携帯に手が伸びてしまう。


いつからだろう。


「……もしもし?」


「あ、陽。元気?」


「一応ね。今日は友達と遊んだから。」


「よかった。

……なんか今日、口数少なくねえ?」


気付かれていた。


今日、愛華と栞に自分の気持ちを自覚させられてからなんとなく全てが上の空だ。


「……新しい発見をしたから、かな。」


「へえ、どんなこと?」


「自分でも分からなかった気持ちが、分かったんだ。」


「それってどんな気持ち?」


雪村くんがわくわくしている。


ちょっと悪い気はしたけれど、今はまだ、私だけの気持ちにしておきたい。