「よかったな。」
少し、悲しげに聞こえた。
たぶん、雪村くんは私が学校に戻ることを望んでいる。
「私、学校に行かなくてもあんな目に遭うくらいなら、もう2度と行かないから。」
「……あと1回だけでも来られない?」
「……いつ?」
「終業式。」
「……ごめんね、もう無理。」
今日のことを見てしまったら、怖くて行けない。
「……でも、俺は待っているから。」
「……そう。」
しばらくの沈黙の後、私は立ち上がった。
「帰る。」
「じゃあ俺も帰ろうかな。」
「ごめんね、遅くまで。」
「ん。」
「じゃあまた。」
「じゃあな。」
私達は静かに別れた。


