冬の気配が秋風に乗せてやってくる頃になると、私は電話での会話を再開するようになった。
相変わらず、愛華と栞は仲良くしてくれるし、私も2人が好きだ。
学校に行けていないことは変わっていない。
たまに学校から郵送される封筒に入っていたプリントを黙々と解いていると、電話が鳴った。
……雪村くんかな。
最近は、前以上に心待ちにしている。
この気持ちをどう言ったらいいかはよく分からないけれど、肌寒い秋の夜長に暖かくなるのは確かだ。
「……もしもし?」
「あ、星野だ。」
雪村くんはいつも嬉しそう。
それにつられて私も嬉しくなる。
「どうしたの?」
「空、見てみろよ。」
「何か見えるの?」
「今日、満月なんだってさ。
ちょうど今は南中しているかと思って。
そっちは見える?」
「……うん。よく見える。
綺麗だね。」


