ーSide 理人ー
見間違えだろうか。
元々、循環器内科と内分泌内科の病棟は混合になっている。
カルテを見ていた時に、自分の妹と同姓同名の患者が入院したことに気づいた。
まさかな。
でも、気になることもあった。
それは、自分の母親が心臓病を患っていた。
だから、もしかしたら。
「理人?」
いや、もしそうだとしたら主治医は誰なんだろうか。
カルテを開けば、さくらの情報は簡単に見られる。
だけど、そんな勇気なんてある訳もなく。
ただただ、パソコンを眺めることしかできなかった。
「おい、理人!」
「悪い。何だっけ。」
椎名湊は、俺の同期で大学からの親友だ。
「今日、緊急で香椎さくらちゃんっていう16歳の女の子が入院になったんだけど…」
「な、なあ。その子って施設育ちってことはないよな?」
「そうだけど…。ちょっと色々と複雑なんだよな。」
「いつから、その子担当してるの?」
「元々、俺の親父が診てた患者さんなんだ。
でもほら、俺の親父定年退職迎えただろう?
それで、自分が引き継いだんだけどさくらちゃんとはもう3年の付き合いになるかな。」
3年前だと俺は、まだこの病棟には来てないな。
ここの病棟に異動になったのはまだ半年前。
だから、さくらがこの病院に通ってることすら知らなかった。
「めずらしいな。理人がそこまで患者に踏み込もうとしてるなんて。」
それもそうだ。
俺は、患者さんのプライベートな部分まで踏み込んだりはしない。
万が一トラブルにあったら嫌だから。
「そんなこと言うなら、お前もそうじゃないか。
なんか、思い詰めた顔してる。」
「いや…。ちょっと気になることがあって。
さくらちゃん、今まで血糖コントロールがちゃんとできていたんだ。
食事も、インスリンの注射も頑張ってきたこと十分に分かってる。
今日の、採血結果…。
膵臓の値と、HbA1cの値が異常なほどに高くて。」
膵臓の値ってなんだよ。
それは、膵臓癌患者と同じくらい数値が高かった。
まさか…
まさかな…。
俺は、いても経ってもいられずさくらのカルテを開いた。
アナムネというさくらの個人情報が書いてあるページをひらいた。
そこの緊急連絡先には、さくらのいる施設名が書いてあり電話番号が載っていた。
それは、最近かけた番号と一致した。
「なあ、湊…。実はその子、俺の妹なんだ。」
「えっ。妹って、離れ離れになったっていう?」
「もう、16年経つか…。実は、つい最近さくらのいる施設に連絡を入れたんだ。
さくらに会いたい一心だった。
でも、今冷静に考えてみると間違いだったのかもしれない。
今更、自分を捨てたと思っている家族になんて会いたいなんて普通なら思わないよな…。」
「そうなのかな…。
なあ、理人。
たとえ、理由があれ父親のしたことは許されることなんかじゃない。
でも、理人はずっと妹であるさくらちゃんのこと考えない日なんてなかったんじゃないのか。
今、医者として安定した生活が送れるようになって、さくらちゃんともう1度やり直したいって考えてたんだろ?
一旦、離れ離れになった心はそう簡単には修復なんてできない。
だけど、時間かけたっていいんじゃないのか。
さくらちゃんと、弟と家族としてやり直したっていいんじゃないのかな。」
湊の言うとおりだ。
さくらが、少しでも会いたいって思ってくれているなら会いに行きたい。
それから俺は、自分に残された業務を淡々と進めていった。
見間違えだろうか。
元々、循環器内科と内分泌内科の病棟は混合になっている。
カルテを見ていた時に、自分の妹と同姓同名の患者が入院したことに気づいた。
まさかな。
でも、気になることもあった。
それは、自分の母親が心臓病を患っていた。
だから、もしかしたら。
「理人?」
いや、もしそうだとしたら主治医は誰なんだろうか。
カルテを開けば、さくらの情報は簡単に見られる。
だけど、そんな勇気なんてある訳もなく。
ただただ、パソコンを眺めることしかできなかった。
「おい、理人!」
「悪い。何だっけ。」
椎名湊は、俺の同期で大学からの親友だ。
「今日、緊急で香椎さくらちゃんっていう16歳の女の子が入院になったんだけど…」
「な、なあ。その子って施設育ちってことはないよな?」
「そうだけど…。ちょっと色々と複雑なんだよな。」
「いつから、その子担当してるの?」
「元々、俺の親父が診てた患者さんなんだ。
でもほら、俺の親父定年退職迎えただろう?
それで、自分が引き継いだんだけどさくらちゃんとはもう3年の付き合いになるかな。」
3年前だと俺は、まだこの病棟には来てないな。
ここの病棟に異動になったのはまだ半年前。
だから、さくらがこの病院に通ってることすら知らなかった。
「めずらしいな。理人がそこまで患者に踏み込もうとしてるなんて。」
それもそうだ。
俺は、患者さんのプライベートな部分まで踏み込んだりはしない。
万が一トラブルにあったら嫌だから。
「そんなこと言うなら、お前もそうじゃないか。
なんか、思い詰めた顔してる。」
「いや…。ちょっと気になることがあって。
さくらちゃん、今まで血糖コントロールがちゃんとできていたんだ。
食事も、インスリンの注射も頑張ってきたこと十分に分かってる。
今日の、採血結果…。
膵臓の値と、HbA1cの値が異常なほどに高くて。」
膵臓の値ってなんだよ。
それは、膵臓癌患者と同じくらい数値が高かった。
まさか…
まさかな…。
俺は、いても経ってもいられずさくらのカルテを開いた。
アナムネというさくらの個人情報が書いてあるページをひらいた。
そこの緊急連絡先には、さくらのいる施設名が書いてあり電話番号が載っていた。
それは、最近かけた番号と一致した。
「なあ、湊…。実はその子、俺の妹なんだ。」
「えっ。妹って、離れ離れになったっていう?」
「もう、16年経つか…。実は、つい最近さくらのいる施設に連絡を入れたんだ。
さくらに会いたい一心だった。
でも、今冷静に考えてみると間違いだったのかもしれない。
今更、自分を捨てたと思っている家族になんて会いたいなんて普通なら思わないよな…。」
「そうなのかな…。
なあ、理人。
たとえ、理由があれ父親のしたことは許されることなんかじゃない。
でも、理人はずっと妹であるさくらちゃんのこと考えない日なんてなかったんじゃないのか。
今、医者として安定した生活が送れるようになって、さくらちゃんともう1度やり直したいって考えてたんだろ?
一旦、離れ離れになった心はそう簡単には修復なんてできない。
だけど、時間かけたっていいんじゃないのか。
さくらちゃんと、弟と家族としてやり直したっていいんじゃないのかな。」
湊の言うとおりだ。
さくらが、少しでも会いたいって思ってくれているなら会いに行きたい。
それから俺は、自分に残された業務を淡々と進めていった。

