白いワンピース

ーside さくらー



施設長へ連絡してから、ずっと窓の外を眺めていた。



本当に会って大丈夫なのだろうか。




私もそうだけど、父親に似た男の人なんだろうな…。




だけど、私はずっと聞きたいことがあった。





どうして、私だけ捨てられたのか。




今更、そんなことを知っても意味がないんだろうけど、産まれてからずっと心の中でその事ばかりが引っかかっていた。





私がまだ幼い頃に、父親から言われた言葉。





それが、きっと私を捨てた理由なんだろうけど。




それでも私は詳しいことが知りたかった。





自分のお母さんがどんな人だったのかとか




私を愛して産んでくれたのかとか。




だけど、どうしてだろう。





今まで、こんなことどうでもいいと思っていたのに。




家族がいない私にとって、家族の愛情なんて一生知らなくてもいい物だと思っていたのに。





いきなり、兄が現れて私に会うことを望んでいるなんて聞いたら、私にも幸せになれるチャンスがあるのかと一瞬でも考えてしまった。




別に、今が不幸なんてことはないけど。




そんなことを考えていると、椎名先生が入ってきた。





「さくら。調子はどう?」




「うん。大丈夫ですよ。」





「大丈夫って顔じゃないんだけど。




何かまた悩んでいるんだろう。」





3年私のことを見ている先生には何でもお見通しだった。





「私、兄に会おうと思うんです。」





「そうなんだ。」





そう言って、椎名先生は近くにある椅子に腰を下ろした。





「大きな決断をしたんだね。」





「だけど、私どうしたらいいのか分からないんです。



兄に聞きたいことはたくさんあるけど、それを知ったら私は冷静でいられるのかなって考えちゃって。



また、前の自分に戻ってしまうんじゃないかって思って。



私、昔の自分に戻りたくないんです。」





「さくら。


例え、さくらの過去が悲惨なものであっても、その辛いことを乗り越えて今の自分があるんだ。




だけど、考えてきた時間は無駄じゃない。



確かに、田代施設長から昔のさくらのことを少し聞いて、俺も昔みたいには戻ってほしいとは思わない。



でもな、今は違うと思うんだ。



その証に、そうやって何かあったら逃げず考えることができるようになっただろう。




それって、大きな成長だと思うんだ。




昔に戻りたくないとは思うけど、過去は捨てるなよ。



さくらの生きてきた過去の時間は、どの時間をとっても大切なんだから。」