白いワンピース

ーside 田代ー



それは、お昼頃だった。




施設に、1件の電話がかかってきた。




宛先は、さくらからで何かあったのかと思いすぐ電話に出た。




「さくら!?


何かあったの?」





さくらから、電話してくることはいつも体調が悪い時や、何かに悩んでいる時だった。





「ごめんなさい。」





さくらは、私の動揺を察し最初に謝った。




「謝らないで大丈夫よ。


それより、どうかした?」





「私、兄に会おうと思うんです。」





「そう。


さくら、えらいね。



よく考えて決断したんだよね。」






「はい。



私、入院する前に琴音ちゃんと夜に話をしたんです。



琴音ちゃんは、お兄さんやお姉さんが亡くなって離れ離れになってしまったんですよね。



寂しいのを頑張って我慢してた琴音ちゃんを見てたら、まだ私は兄と会える機会があるだけ幸せなのかなって思ったんです。」





「そう。


ねえ、さくら。



例えあなたがお兄さんと会って、何かあったとしてもいつだって私や施設のみんながあなたのことを助ける。



いつだって、あなたの帰る場所はここなんだから。



一緒に話して、同じ時間を過ごしてみてもし居心地が悪かったり、少しでも嫌な思いをしたらいつでも戻っていいんだからね。




お兄さんと会ったからって、さくらをお兄さん達に引き渡すわけでもないし、さくらが嫌って言うならここにいればいいんだから。」






「先生。」




「色々言ったけど、とにかくさくら。




大切なのはあなたの気持ち。




私や、お兄さんも1番にさくらの気持ちを考える。



さくらが思うように動けばいいと思う。



いつでも味方だからね。」






「ありがとうございます。」





電話越しに、さくらが泣いていることが分かる。




精一杯考えて出した決断だから、私はさくらの気持ちを尊重して全力でサポートしよう。





それにしても、こうやってみんなゆっくり確実に大人になっていくんだな。




この仕事をして何年も経つけど、立派になっていく子供たちを見るのが、いつしか自分の幸せになっていた。




特に、さくらは施設の子供の中でも1番気にかけていないと、危ないことをしていて一時は自ら命を絶とうとしていた。





辛い現実から逃げてばかりいたさくらが、こうして大きな決断をしたことが嬉しかった。





私にできることは、さくらをこれからも支えていくこと。




少しでも、さくらの力になれるように私はさくらのお兄さんへ連絡をとった。