白いワンピース

ーside 理人ー


外来での仕事を終えて家に帰宅している途中に、プライベート用の携帯が鳴った。



かかってきた先は、さくらのいる施設の施設長からだった。




さくらに何かあったのかと思い、急いで電話に出た。



「はい。香椎です。」






「お久しぶりです。


施設長の、田島千代といいます。


この前は、お電話いただきありがとうございました。」





「いえ。


こちらこそ、いきなり電話してしまいすみません。」




しばらく、沈黙が続いた。




「実は、さくら。



お兄さんに会う決意ができたみたいで。



直接のやり取りはまだ怖いからできないと言っていたので、私を通してさくらに会う日や、話す日などを決めてもよろしいでしょうか。」




田島施設長の言葉に、しばらく返事ができなかった。




これは現実なのか。




さくらは、俺たちに会う決意を決めてくれた?





嬉しすぎて、何も言葉が出てこなかった。




「あの。」




「あっ、すみません。



分かりました。



今後の連絡なども引き続き、施設を通して行っていきたいと思います。」





「はい。それではよろしくお願いします。



それから…。」






施設長はその言葉を残し、しばらく沈黙が続いた。





その沈黙に何となく嫌な予感がしていた。





「さくらですが、生まれつき病気を患ってます。



電話越しに、直接話すのはなんだか気が引けてしまうので、そちらに合わせてさくらと私と面談の期間を設けていただけますか?」






生まれつきの病気。




やっぱり、同姓同名なんかじゃなかったんだ。





俺は、確信した。





さくらに何か病気があるとしたら俺達の手で治していきたい。





些細な変化にも気づいてあげられるように傍にいたい。




「分かりました。



その期日も、施設長を通して話し合う形でよろしいでしょうか。」





「はい。お願いします。」




それから、施設長との電話を切った。




さくらに直接会いに行きたい。





だけど、そんなこと許されるわけもない。




すぐそばにいるのに、会うことができないもどかしさ。



自分のこの辛い気持ちより、さくらは何倍も辛い思いをしてきたんだよな。




そう思うと、父親が憎かった。




それ以上に、あの時何もしてあげることができなかった自分達を責めた。




長男として、大切な妹を守ることができなかった。




寂しいし辛いけど、この現実は何も変わらない。





それなら、これからさくらのそばにいて幸せにさせてあげよう。





今までの決意よりも固くそう心の中で誓った。