アローン・アゲイン

虹色のライトアップが幻想的な対岸のテーマパークへと架けられたベイブリッジをオートクルーズで走行中、僕は港に並列したガントリークレーンの赤い瞬きを眺めながら発言の真意に深入りしていた…
すると彼女は以前と変わらない親しげな口調でその答えとなる質問を切り出す───

「ねぇ…今度はいつ会えるかしら」

「さぁ、それは君次第だね」

ためらいを残しつつも前向きな意外性に二度見した素振りを冷淡な態度と履き違えたのか…彼女は怪訝そうに斜に構えた。

「意地悪な言い方ね、女の私から二度も誘いをかけさせるつもり?」

しかしその甲斐なく、形勢は予防線を張っていた僕へと傾く。

「また急に会えなくなった…なんて言い出したりしてね」

「私の方からはもう、それは無いと思うけど…」

分が悪そうに肩をすぼめる彼女を見て、僕も自らに課した終焉をリセットする事にした。
オートクルーズを解除し、目的地までのルートに新たな通過点を登録する…
彼女には内緒だが二人が最初に出会った『ラストオーダー』というショットバーを経由する事にした。
今から行けば終電には間に合うだろう…

「一つ確認していい?」

「門限の事でしょ?…もう必要ないわ」

「だったら少し寄り道をするね」

僕はジャンクションの分岐案内に従い、タワーマンションの谷間から枝別れした接続路を右方向へ直進。
途中視界が開けると、ループ橋から彼女の自宅がある閑静な街並みを見下ろしながら、縦貫道となる本線へ合流した。
何も告げなければ彼女を不安がらせるが、計画を話せばサプライズが台無しとなる。
僅かな時間との賭けだったが、期待通りの答えに胸を撫で下ろすと、

「私からも聞いていい?
なぜ今日に限ってあのレストランにしたの?
苦い想い出しか残ってないのに…」

それは5年前の冬───
その店でのアクシデントが互いの仲を現在のファジースタイルへと軟化させた。
そのターニングポイントが時のジェラシーであっても、彼女にとっては忌まわしい障壁に変わりはなかった…