アローン・アゲイン

「仮に彼の魂胆がそうだとしても心の束縛を解くのは難しかったと思うよ」

語尾の切れた彼女の口振りは自らに非がある事を色濃く匂わせていた…なので、

「婚姻への執着が彼の魅力を狭窄させた原因?」

その趣旨を否定する質問へと切り替えた筈だった…しかし、

「それは違うわ…憧れと愛を同一視した私が彼の譲るべき誇りを見えなくしたんだと思う…多分ね。
だって愛情と謙虚さは、常に相関関係にあるでしょ?
でもこれだけは信じて…例え荒んだとしても彼本来の優しさを取り戻せるのであれば何も厭わなかった、それは誑かされた今でも変わらないわ」

彼女のスタンスが言葉通りであるなら忌み嫌っての軽蔑ではない事は確かだが、それは憔悴した表向きの顔だ。
偏に純粋な憧れだったからこそ情の違いが招いた結末に自らを卑下したのであれば、客観的な自負を失いかけている。

「君の人望は簡単に色褪せたりしないさ…男の真価に惑わず、自分を磨くもので絆を紡げはいいよ」

繊細な問題だけに安易な妥協は避けたが端的でなければ身構えた言い訳になる…ここは敢えてダメージを挫く間接的意見に留めた方が無難だ。
だが思いの外、彼女のマインドはそこまで脆くはなかった様だ。
その根拠が意味深な返事の中に隠されている…

「分かってる…それを今日見つけたわ」