『なんだよ、ヒナタ。』
頬に擦り寄るヒナタを優しく撫でると小さく「みゃあ」と甘えた声を出す。
それが可愛くてうりうりと撫でてれば気に入らないのか「シャー」っと威嚇する。
それが、可愛くて少し笑えば
目の前のオンナが吹き出す
「あはは」
『んだよ』
「あなたも、そんな顔できるんじゃないですか」
ふふふと涙を拭いながら俺をみてゆったりと目を細める。
『あ?つか、なんだよ、見てねぇでどっかいけよ』
少しいらっとしながらそう言えばくすくすと笑いながら
「私、ココ気にっちゃったんです、主さん、私もここにいちゃダメですか」
なんてふざけたことを言いやがる。
『は?勝手に何いってんの』
気に入るとか何?頭湧いてんのか?昨日てめぇここで襲われてたじゃねーか。
そう考えてると、俺の考えがわかったのか。
ふっと微笑んだ。
「確かに、怖いことがあったけど、あなたが助けてくれたから」
『助けてねぇし』
「んーじゃあ、あなたが私が嫌だって思った人をぶっ飛ばしちゃったから、私に少しきつい言い方でもほっぽり出したりはしなかったから。」
『...』
「それに、ここ、星が案外見えるんですね、昨日、あなたを見上げた時に空が見えました」
は、っと、かすれた声が漏れる。
星が良く見える、それを知ってるのは俺だけだった。
だって、この街の奴らは愛だ金だ男だ女だで、空なんて気にしやしねぇ。
だから、俺がこの場所にいついてる理由も誰もわかんねぇ。
「その時思ったんです、ああ、いいな、ここ…って。」
その感情は俺はよく知っていた。
切り離されたように静かなこの路地は誰も人が近づかないからか街頭もない。
おかげで高い壁や家の隙間からだが、少しだけ世界から切り離されたような星空が見える。
気づいて初めて思った、この場所が欲しい。
ここを俺の場所にしようと。
オンナはキラキラとした視線をまだ星も見えない空に向けていて。
そして、俺をみてゆっくりと笑う。
“作り物”じゃない笑みを浮かべて。
「ここ、いちゃ、ダメですか?主さん」
『...。』
何も言わない俺に少し不思議になったのかヒナタが俺の頭をベシベシと叩いた。
『好きにすれば…。』
そう言えばヒナタは叩くのをやめて楽しげにゆっくりと鳴いたのだった。
