「綺麗ね。」

ガヤガヤと登校してきた人達でうるさいはずなのに由梨華の声だけがストンと私の中に入ってくる。

そう。写真の中の風景はいつだって綺麗だ。
屈託無くそこに生命維持し続けている。

写真を眺めながら余韻に浸っているとポケットの中のケータイが震えた。

チラリと覗くとただ『日朝みろ』とだけ
メッセージが来ていた。
日朝?どうしたというのだ。

「ちょっと、すみません。」

由梨華に一言断りを入れその場を離れる。
ケータイを操作しながら日朝の株価がのってるレートを見た。

あぁ、なるほど。
確かにこれは夜だと危ない状況ね。

軽く操作した後メッセージの送り主に
『ありがとう』だけ打って私はケータイを閉じた。