「おはよう。ゆりさん」
私は返しそびれた挨拶を返す。

「今日はなにを見てきたの?」

側からみたらこの会話は変なのだろう。
由梨華が今日はなにを撮ってきたのかと尋ねているのは私にしかわからない。
スッと一眼レフカメラを机におき一言

「空と銀杏」

これが私たちの朝の日課だ。
私が学校に向かう途中写真を撮る。
それを由梨華がみる。
高校入学と同時に始まった日課だった。