そして、失恋をする

「はぁ 。どうせなにもしてないんだから、LINEぐらい返してよね。いちおう、心配してたんだから」

軽い口調とは裏腹に、希はほんとうに心配そうな表情で僕を見つめた。

「わ、わるかったよ」

僕は、小さな声で謝った。

ほんとうは、あまり僕にやさしくしてほしくなかった。ただでさえ千春を失って以降、修也以外の人とはあまりなかよくしない決めていた。けれど、希のやさしさに友人関係になってしまった。そしていつか、希に恋愛感情を抱いてしまいそうで怖かった。



壁掛け時計が午後0時を指したとき、教室に学校のチャイムが鳴った。

「じゃ、今日はここまで。夏休みの宿題を提出できなかった者は、今日の夕方までに職員室まで届けなさい」

そう言って小林先生は、生徒たちから提出された夏休みの宿題を手に持って教室を出た。

「夏休みの宿題、忘れたの?陸」

となりの席に座っていた希が、ノートを机の引き出しの中に片付けながら僕に声をかけた。