そして、失恋をする

「はぁ 」

僕の口から、深いため息がこぼれた。

「ねぇ、西田陸君」

「ん!」

ぼうぜんと小林先生の朝礼を聞いてると、となりからフルネームで僕を呼ぶ女性の声が聞こえた。

「なんだ、希か」

僕は視線の先に映った、女性の名前を口にした。

田中希とはこの高校で知り合い、入学当初から席がずっと隣同士。最初は僕の失恋を知っている修也以外の人とはしゃべらないと決めていたが、希の積極的な態度に徐々に心が開くようになった。

「なんだとはなによ!LINE送ったのに、一回も返さないなんて。一体、どんな夏休み送ってたの?」

「希には、関係のないことだ」

僕は、冷たい声で言った。

僕の夏休みは、ずっと千春のお墓参り。それと、親友の修也と退屈な夏休みを過ごしていた。