そして、失恋をする

「席につけ」

修也と話していると、開いた教室の扉から担任の小林智先生が入ってきた。

メガネをかけた身長百八十センチぐらいの、すらりとした三十代前半の若い男性教諭だ。僕たち一年五組のクラスの担任の教師とともに、数学の授業も教えている。

「じゃ、また後でな」

短く言って修也は、自分の席に戻った。

「じゃあ」

ひとことだけ言って、僕は軽く右手を上げた。

修也と僕の席はかなり離れており、こうした休み時間以外はしゃべることはなかった。

「みんな、おはよう。夏休みが終わって、今日から学校生活がまたスタートします。休み明けで体がしんどいかもしれませんが、勉強や部活動、今しかできないことをがんばってやりましょう」

担任の小林先生のさわやかな朝礼を耳にすると、学校が始まったんだと実感する。