そして、失恋をする

「それより、今日も千春のお墓に行って来たのか?」

「あたりまえだろ。これからも、毎日行くさ」

僕は、はっきりとした口調で言った。

今までなにもかも途中で投げ出してきた僕だが、これだけは続けている。千春のお墓参りをすることが、彼女とつながっているように思えるからだ。それと同時に、千春以外に人を好きになることはないと決めていた。

「でも、千春が死んでもう二年も経つんだぞ。もうそろそろ千春のことを忘れて、新しい恋をした方が彼女はよろこぶじゃないのか」

修也は心配そうな表情で、僕をなぐさめた。

「よけいなお世話だ」

僕は、冷たく言った。

僕は、千春以外の女性を好きになりたくなかった。好きになってしまうと、千春のことを忘れてしまいそうで怖いから。