そして、失恋をする

「あまり女性と付き合ったことないからわからないけど、俺だったらその好きな人の嫌いなところを見つけるな。そして嫌いになって、別れるな。だって、好きなまま別れるのって辛くないか?」

修也が言った意見は、わかる気がした。

嫌いな人と別れるのはうれしいが、好きな人と別れるのは死ぬほど辛い。一度好きな人と失恋してるからか、その悲しい想いは誰よりも知ってる。

「千春………」

僕は、好きだった彼女の名前を口にした。

あのとき、僕は千春のことが誰よりも好きだった。でも、想いを伝えられないまま、けっきょく千春はバイクに轢かれて帰らぬ人となった。そして僕は、好きな感情を抱いたまま、彼女と別れた。僕が千春のことが好きではなかったら、こんなに引きずることはなかっただろう。恋愛にも、こんなに消極的になってないだろう。

「千春」

もう一度僕は、彼女の名前を口にした。

彼女は、一周間しか生きれなかった。想いを告げても、別れる運命だった。けれど、千春のことを思うと、僕だけが幸せになるのはなんだか罪悪感を感じる。