そして、失恋をする

「最近、この時間から出かけるの多くない?お母さん」

「そう、気のせいじゃない」

僕のことも見ずに、母親はそっけなく言った。

「それよりも今日も、お父さん仕事で遅くなるみたいだから。陸は、早く寝なさい」

そう言って母親は、洗面所を出た。母親の服から漂う、僕の苦手な香水のにおいが顔をしかめた。

「じゃあ、行ってくるね」

「行ってらっしゃい」

右手を振って母親を見送る、僕の声は暗かった。

ガミガミ言う母親は嫌だと思うときがあるが、ひとりになるとさびしくなる。

「はぁ 」

僕は、口から深いため息をこぼした。そして、ゆっくりとイスの上に腰を下ろした。