そして、失恋をする

午後十五時十分、教室に学校特有の終礼のチャイムが鳴った。

「では、今日はここまで。今日宿題を提出してない者は、夕方までに提出すること」

そう伝えた小林先生の言葉が、まるで僕だけに言ってるように聞こえた。

慌てて帰る支度をしていると、「今日も、早く帰るの?」と、どこかさびしげな声が僕のとなりから聞こえた。声のした方に視線を向けると、希が僕の瞳に映った。

「うん。夕方までに、宿題を提出しないといけないからね」

僕は、優しい口調で希に伝えた。

「希は、これからバレーボールの部活か?」

「うん。夏の大会は終わったけれど、次の大会に向けて練習があるんだ」

「大変だな」

すなおに僕は、そう思った。

学校の授業に加え、部活動もやるなんて。僕にはない希のがんばり屋の性格はあこがれはしないが、尊敬はできた。

「じゃあな、希」

そう言って僕は、走って教室を出た。