そして、失恋をする

「希は、夏休みなにしてたんだよ。LINE送ってきたんだから、僕になにか用事があったんだろ」

制服のズボンから白色のスマートフォンを取り出し、僕は液晶画面に表示されているLINEのメッセージを希に見せた。

「ああ。その日はバレーボールの練習がなかったから、陸とどこか遊びに行こうかなぁと思ったの」

僕のスマホの液晶画面に表示されているLINEの文章を見て、希は明るい声で言った。

希は、バレーボール部に所属している。しかし、セッターのポジションをしているからか、小柄な体型をしていた。日焼けをした小麦色の肌からは、運動部ならではの健康さを感じさせる。黒髪のショートボブが彼女の好きな髪型らしく、バレーボール部のときも授業中のときも、いつも同じ髪型をしているのが希の変わらない特徴だ。そしてわずかに吊り上がった、希の茶色瞳は僕はきらいではなかった。