そして、失恋をする

「断るよ。『好きな人がいるから』っと言ってね」

その好きな人とは、千春のことだった。希とは友人関係ではあるが、千春のように恋愛関係にはなりたくなかった。それが、ベストな関係だと思えた。

「はぁ、お前ってやつは………」

修也は、深いため息を口からこぼした。

「それが、千春の幸せだと思うのかよ?たしかに千春が亡くなって辛い気持ちはわかる。でも、千春はもうこの世にはいないんだぞ。千春のためにも、お前が誰かと幸せになってくれてる方が喜ぶのじゃないのか?」

修也は、励ましの言葉を僕にかけた。

千春を失って以降、親友の修也はいつも僕に励ましの言葉をかけてくれていた。励ましてくれている修也には感謝しているが、僕は千春以外の女性を好きになりたくなかった。