そして、失恋をする

「宿題はいちおうやってあるんだけど、家に忘れたんだ。ああ、めんどくせぇ」

そう言って僕は、イスにもたれた。

今日の夕方までに宿題を提出しないといけないと思うと、気が重くなる。しかも家に帰ってすぐ、また学校に行かないと思うと、気が失せる。

「せっかく宿題やったんだから、提出しないと損だよ」

「そうだそうだ、提出するだけでいいんだぞ」

希と僕の会話に、修也が割って入ってきた。

「修也は、宿題提出したのかよ?」

僕は、修也に視線を向けて訊いた。

「もちろん、提出したさぁ」

修也は拳を軽く握って、左胸をポンと叩いた。

明るい髪色に染めていつも先生に怒られている修也だったが、その見かけとは裏腹に、彼はまじめな性格をしている。

「修也は親友として、一緒に忘れてくれよ」

「親友だけど、そんなの嫌だよ。てか、家に帰ってすぐ学校まで提出したらいいだけじゃないか」

「そうなんだけど………」

見た目とは裏腹にあたりまえのことを言う修也に、僕はそれしか言えなかった。

一度家に帰ってしまうと、もう一度学校に行く気になんてなれない。しかし、今日中に宿題を提出しないと、成績に響いてしまう。そうなると、もっとめんどくさくなる。ただでさえ頭はそんなによくないのに、提出物まで出さなかったら先生だって僕の成績をつけようがないだろう。