「あ、雨だ。」


梅雨もようやく明けた7月下旬。


今日は久々に雨が振っている。


最近は太陽が出すぎて嫌になっていたが、雨だとじめじめした暑さでもっと嫌になる。


「昼になると上がるって言ってたけど、洗濯物干せなくなるからやぁね。」


お母さんは暑さ云々より、洗濯物の方が大事らしい。


最近4歳になったばかりの妹、由実(ユミ)の服を着せながらそう呟いた。


「由実は雨好きだよ~!」


「はいはい、早く服着ちゃいな。」


雨が好きだなんて変わっているな。


雨なんて、濡れるしベトベトするし、全然良いことないのに。


「雫(シズク)、早くしないと遅れるよ。」


「あ、うん。」


お母さんに言われ、私は鞄を持った。