でも私の気持ちは知られてはいけない。
アレックスとフレンドの命がかかっている、国の一大事が迫ってるのに彼の気を散らしてはいけない。
騎士団長の使命はアレックスを助ける事。
自分の命に代えても助ける事。
私なんて二の次だから。
いや
寂しく思ってどーする。
別世界の男に惚れてどーすんだ私。
気が散るとダンスも乱れる。
魔法の靴も集中力が必要なのかな。
ついリアムのブーツを蹴ってしまう。
「ごめんなさい」
「いや」
そして沈黙
会話がない。
嫌われてるのかな私。
無能なのに
仕事増やしてばかりだもんね。
好かれなくてもいいから
嫌われたくないな。
ワルツが終わって
やっと彼は私を見てくれた。
「仕事に戻る」
「うん。踊ってくれてありがとう」
「リナ」
「はい」
「……綺麗だ」
消えそうな声でそう言って、真っ赤になって私の前から去って行く。
騎士団長はツンデレかい。
私も彼以上に顔を赤くしてしまう。



