アレックスはリアムの顔を見て自分の腕に力を入れ、グイッと私を引き寄せた。

えっ?ちょっとちょっと!

「何か用か?」

「いえ……急がないのでまた」と言い、私達から目をそらしてすぐその場を去って行った。

あ……誤解させたかも
いや誤解されても別にいいんだけど、なぜか追いかけて『誤解だよ』って言いたくなる。

どうした私?

「久し振りに楽しいな」
アレックスがまたツボに入ったのか笑いが止まらなくなり、私はその隙に彼の腕から無事離れた。
まったく……何が楽しいのかわからない。アレックスの笑いに私の涙も止まってしまう。

「きっと来月の舞踏会の話だ」

「舞踏会?」

これぞ王道ファンタジー。
お城で舞踏会なんてシンデレラの世界だ。

「そう、舞踏会」
アレックスは私の腕を取って優雅にお辞儀をする。

「沢山人が集まるの?」

「やらなくていいのだが、私の誕生日の祝いだ。山のふもとの領主たちが美しい娘たちを連れて城にやって来る」

「お妃さま候補?」
聞いていてワクワクする。
リアルシンデレラだ。
きらびやかな世界をこっそり覗きたい。