「街の人達は怖ろしい厄介者がいなくなって喜びました。火が飛び森は焼かれました。家も焼かれました。私も疲れたので祖母の元へ行こうとしていたら、王様が現れて私を助けてくれました」

「アレックスが?」

「はい」
そこでシルフィンがやっとニッコリ私を笑って見てくれた。

「いやらしい身分の私を抱きしめて『もう大丈夫だよ』と言って城に連れて行って、助けてくれました。時間をかけて街の人の役に立って溶け込もうとしてるけど、たまにさっきのおばあさんみたいに許してくれない人もいます」

「そっか」

そんな過去があったなんて
私の苦労なんて苦労じゃないね。

「シルフィンのおばあ様は素敵なおばあ様だったのね。きっと今も見守ってくれているよ」

「ありがとうございます」

「アレックスはさすが王様だ」

「はい。だから今度は……何があろうと、王を救わなければなりません。私もリアム様も城のみんなも国民も一番の願いです。王様はあきらめてますが、絶対あきらめてはいけません。王様はみんなに尊敬されて好かれていて偉大な王様なのです」

シルフィンの声がうわずる。

ん?どうしたの?何かあるの?

「シルフィン?あの……」

わけわからない顔でシルフィンを見ると

「リナ様は知らないのですね」ってあらためて言われてしまった。

はい。何も知らない能天気な無能者です私。