「何もできないのか?」
リアムに言われて言葉に詰まる。

くっ……悔しい
でも本当だ何もできない。
魔法も使えないし
私ってこの世界ではポンコツ……あれ?でも普通はさ異世界に飛ばされたらあっちの能力を生かして『すごーい』とかって尊敬されてチヤホヤされるはずなんだけど……そんなに甘くないのか、いや飛ばされた世界が悪いんだよ。これは普通じゃないもん。まぁ異世界の普通ってわかんないけどさ。ここじゃTOEICも関係ないんだよ。

要するに

落ち込みが止まらない。

壁ドンされて自分が情けなくて泣きそうになってたら、リアムの顔がうろたえた。

「……泣かせるつもりじゃなかった」

あら?意外と素直?
噛んでた唇を緩めてリアムを正面で見ると、申し訳なさそうな顔になっていた。

なんか……想定外。

「七面鳥も羊も料理長が魔法で解体してるだろう。女の子を攻めてはいけないよ」

王様に言われてリアムは壁から手を離して私から離れ「朝の点呼がありますので」と静かにそう言い、部屋を出て行ってしまった。

「紅茶が冷めてしまったね」
さりげなく王様がそう言ってくれた。

「王様?」

「アレックスでいいよ」

「アレックス」

「なんでしょうか?」

テーブルの上にあった堅苦しい星座表が消えて、今度は花柄のティーセットが現れる。