「朝食の時間にまた来ます。今夜はゆっくりお休み下さい」
シルフィンはまたドレスの裾を小さくつかみ、私に会釈をして今度はドアから出て行ってくれた。

うん。
ドアがあるならドアを使いましょう。

ひとりになって
お姫様ベッドの上に倒れ込む。

全て夢ならいいのに
夢にしてはリアルだ
鳥の丸焼き美味しかった。
ワインも本当に美味しかった。

自分の左手の薬指にはまってる指輪を触り、手のひら側にある赤い石をクルリと返す。

やっぱり珊瑚かな
赤と朱色が混ざったような
艶のある大きな石。

「うーーーん!」
声を出して引っ張ってみるけど、やっぱり外れない。

王様はこの指輪の秘密を知ってるかもしれない。変にバレる前にやっぱり本当の話をした方がいいのかな。

頬が熱い。
美味しいワインに酔ったかも。

お風呂入りたいな

着替えたいな

今日で最終回のドラマ観たいな

今日の会議はどうなったのかな

ネット小説の続きを読みたいな

圏外だよね……って当たり前だ。
電気もないし……。

目が覚めたら

元に戻ってたらいいな。

フカフカなベッドと心地よい枕に誘われて、私はそのまま眠りに落ちた。