「リアムは真面目で意地っ張りでつまらない男だけれど」
リアムにわざと聞こえるように言いながら、アレックスは力を緩めず私を抱きしめる。
品のある顔はどこか寂しげで、ジッと見てると切なくなる。

「リナを世界で一番幸せにする男だ」

「アレックス」

「リナを……妃にしたかった」
私にだけ聞こえる声でそう囁き、そっと頬にキスして私を離す。

寂しさで身体が崩れる私をリアムが支え、彼らは横に並んで笑顔を見せた。

「さよなら……リナ」
アレックスが一言残すと

あっという間に

みんなの姿が徐々に薄くなって

私が声を出す暇もなく


目の前から


消えてしまった。