「こんにちはお嬢さん」
柔らかそうな黒い髪がふわりと浮き、青年は人懐っこい笑顔を私に向けた。

私はパクパクと口を開くけど
声が出てこない。鳥……でしたよね。
ここまで飛んで来ましたよね。

「救世主様じゃないんですか?」

「行き倒れだ!怪しいからここで斬る!」

銀の剣が頭の上で夕陽に輝く
ちょっと待って!
斬るって言った?

「それはダメですよリアム様!王様への報告が義務です」

「黙れ」

「救世主様じゃなくてガッガリする気持ちはわかります。でも騎士団長としてまずは報告です」

ジャニーズ系の青年が爽やかに怒る男を諭し、男は唇を噛んで剣を下ろした。

助かったかも。
鳥さんありがとう。
感謝のまなざしを青年に向けると、彼はニッコリと微笑む。
あ、やっぱり爽やかジャニ系で可愛い。

「そうだな……城に連れて帰る。お前は先に帰り王に話をしてほしい。生かすも殺すもそれからだ」

ギロッとにらまれてしまった。
生かすも殺すもって
やっぱりまだ命は危ないの?

それにしても
ここはどこなんだろう。
沈む夕日をジッと見つめて頭を巡らせても答は出ない。
ただ海が綺麗で夕陽も綺麗で空気も綺麗で
目の前の男達も綺麗だ。

怖い方の男に「行くぞ」と言われた。
もうここは行くしかないだろう。
下手に逃げたら殺される。
顔はいいけどかなり怖いよこの人。