アレックスからもらった名刺を本人の顔と何度も見比べていたら「リナ様」って懐かしい可愛い声が聞こえた。さっきまで踊っていたツインテールの可愛い女の子が、バルーン袖の白いニットに黒のオールインワンの合わせコーデで小走りでやって来た。

「リナ様!」
「シルフィン!」

どちらともなく引き寄せられるようにハグをして、お互いの名前を呼んで涙を流した。「私の時より感動が多くないか?」アレックスはふざけてそう言う。

「リナ様に会いたかったです。とってもとってもお会いしたかったです」

「私もだよ。シルフィンに会いたかった」

恋人同士のように離れない私達を見てリアムとアレックスは呆れたように笑ってる。好きなだけ笑っていいよ。だってシルフィンに会えて嬉しいんだもん。

「すっかりアイドルしてるね」

「リナ様が以前『シルフィンはアイドル顔』って言ってくれたのを覚えてまして、アイドルという仕事を王様と調べました。調べるうちに王様がその気になってしまって、私はメイドカフェという場所に行きたかったのですが、王様が支配人になりたいと言って……こうなりました」
メイドカフェで仕事したかったの?
それはそれで似合うと思うけど。

「アレックスの力で最初からメジャーなアイドルにすればいいのに」
シルフィンから離れてアレックスにそう言うと、彼は目をキラキラさせて堂々とこう言った。

「『彗星のごとく地下から現れた今世紀ラストアイドル』と呼ばれたい」

ラストアイドルに出せばいいのに。