「俺を信じろ……と、言いたいが、それもこの状況では言えない。ただ、俺はリナを信じている。迷わず殺せ」

騎士団長の命令を受けて私はしっかりうなずき、私は席を立つ。

そして左のリアムの元へ歩く。
アレックスたちが心配そうに私を見ている。

右のリアムは……リアムだった。
さて
左のリアムはどうだろう。

左のリアムは反対側の窓際に立ち、腕を組んで外を見ていた。

「フレンドが悲しそうだ」
寂しそうに私に言うので私も窓の外を見る。

フレンドがグルグルと一匹で空を飛んでいた。
ドームの様子も心配だけど
きっと優秀な騎士団も付いているし、魔王と私の闘いが終わらないかぎり魔王も国民には手を出さないと信じよう。

ごめんねフレンド
唇を噛んで外を見ていたら
左のリアムに肩を抱かれた。

力強くてあったかい。

「泣きたい気分だろう?」
ズバリ言われて左のリアムの顔を見上げたら、彼は優しく微笑んだ。

「リアムも泣きたい?」
ふざけた感じでそう聞くと、あっという間に笑顔がムッとした顔に変化した。
そのムッとした顔、これこそリアムの顔。

「泣きたくないけど……困ってる」

「うん」

「リナに重い決断をさせてしまう。リナの苦しみが手に取るようにわかるから……困ってる」

「リアム」

優しいリアム。