最弱救世主とドS騎士


「なぜ死に急ぐ?」

「あんたが私の愛する人を殺したからよ。だから私も殺してそれでおしまいで帰って!」

「本当におもしろい女だ」

「どうでもいいから、早く終わらせて帰ってよ!」

「さっき矢を放ったのがお前の男か?奴はまだ死んでない」

「えっ?」

生きてる?
リアムは生きてるの?

早鐘のように鳴るな心臓を押さえ、私はリアムの方を見下ろそうとした瞬間


身体が浮いて
意識も遠のく

「賭けをしようか?おもしろい異世界の女。お前と命を賭けた勝負をしよう」

グルグルと二日酔いのようなめまいが私を襲う

身体が浮き上がり下がり
意識も浮き上がり下がり

一度ふわりと思いっきり浮いてから

ドスンと音を立てて堅い床に突き落とされ
身体が痛くて軽く悲鳴を上げると

「リナ様!」

目の前にシルフィンがいた

シルフィンどころか
アレックスもジャックもいる。

「ここはどこ?」

さっきまでの荒れ狂う神殿の丘ではなく
静かで広くて空気も綺麗で
天井には天使が舞っている。
もう天使がお出迎え?

いや
ここはよく知ってる場所!

アレックスの部屋だ!