始まるのか……魔法の剣を強く握りしめ、私は回りを見渡した。
国民は全てドームの中に入ったようで、ペガサスにまたがる騎士団達がそれぞれの配置に着く。
シルフィンの表情が変わった。
可愛い魔法使いの女の子から闇の顔になった。
さっきまでの青空が一瞬で消え
遠くから雷鳴が聞こえて私の身体が震えてきた。
どこから来て
どうやって攻撃して
どんな力があるのだろう
話だけしか聞いてないから
余計怖いのかもしれない。
足元が本気でガタガタ震えて来た時、リアムが近寄り私の肩をギュッと抱く。
ただそれだけで
心が少し落ち着く。
「これが終わったら結婚式だ」
「えっ?」
「俺とリナの結婚式だ。また後から正式にプロポーズする」
命を賭けた闘い前なのに、リアムの顔は穏やかだった。
「今……してよ」
「今?」
「半分だけでもして」
「半分?リナは面白い」
リアムは笑って私の耳元で甘く囁いた。
「リナ。愛してる。このままずっと俺の傍にいて妻になってほしい」
「はい」
ずっとずっと
リアムの傍におります。
そしてあなただけをずっと愛します。
「残り半分は後からにしよう」
リアムは私に言い残し、アレックスの隣に並んだ。



