壊れた神殿はフレンドの涙で濡れていた。

さっきまで威厳を持ち
一国の王として仕事をしていたアレックス。

今は私の愛する人と剣を交えている。

「リアム!」

空から私が声を上げても集中していて届かない。

「リアム!」

声が壊れそうなくらい叫ぶ私をシルフィンの小さな手が支える。

「どうしようシルフィン。2人ともこの国にとって大切な人で、今はこんな闘ってる時じゃないのに……全部私のせいだ」

リアム
あぁリアム
お願いだからやめて。

この国で一番勇気があって強い騎士団長だけど、王も負けないくらい剣の腕は強い。
上から見ても
どっちも同じくらい強くて
ちょっとの油断を見せたらすぐ勝敗がつくだろう。

それだけ僅差で迫力も緊張もある闘いだ。

「リナ様は……」

シルフィンの声も耳に入らず、私はどうしていいのか泣きそうになっていると、彼女は冷静な声で私に聞く。

「リナ様は王ではなく、リアム様を愛してるのですか?」

王を愛する彼女に問われ
一瞬時間が停まり
頭が真っ白になった。