フレンドの興奮はおさまらない。

そうだろう
大好きな王様が自分の背中で人を押さえつけて短剣を振り回すなんて、すんごいショックで暴れたくなる気持ちもわかるけど、私が背中に乗ってます!乗車中です!どこー?降りますボタンどこー?

「落ちついてフレンド!」
私の声は聞こえないようで
グルグルと興奮したドラゴンは神殿の上に移動して、高速メリーゴーランド状態。
三半規管弱いから吐きそう。

フレンドの涙が大粒の雨のようだ。

また大きく身体を揺らしたので、その弾みで私は頑張ってつかんでいた手を離してしまった。

落ちる!

そんな恐怖を感じ
ギュッと目をきつく閉じていると

「リナ様!」
聞きなれた可愛い声がして、私は大きな大きなツバメの背に落ち、シルフィンが小さな身体で私を抱きかかえていた。

「シルフィン?」

「御無事ですか?お怪我はないですか?」

「うん大丈夫。フレンドが興奮してる」

「大丈夫です。今、ジャックが行きました」

シルフィンの目線を追うと
一羽の鷹がレーザービームさながらのスピードでフレンドの頭上に追いつき、何やら説得をしている雰囲気だ。

「アレックス……アレックスは?リアムはどこ?」

ふたりとも私の前から消えてしまった。
シルフィンに詰め寄ると、彼女は青ざめた顔をして神殿を指さした。