いや
そこ笑うとこなんですけど!
どうして固まる!
笑ってスルーしてよーーー!

引きつりながら仕方なく自分で笑って辺りを見回しても、誰も私と目を合わさず避けていた。

これは
私が超能力者じゃなくても
みんなの心の声が聴こえるよ。

『やっぱり宮本さん、別れたんだ』
『相手の男の浮気だって、かわいそうに』
『別れたから仕事に生きるんだね』と……。

元カレのおしゃべりな親友が課の先輩の彼氏で、私の耳には入らないけど色々な噂がwi-fiばりにオフィスで飛んでいるのだろう。いや別にいいんだけどさ。

「えーっと……午後イチ会議の準備があるから……先にお昼に行こうかなぁ」
オフィス中に広がる『宮本さん捨てられてかわいそう』オーラをひしひしと全身に受けながら、私は財布を持ってコソコソと総務部を出て行く。

気にしてもらってありがたいけど
空気が重い……。
早く違う誰かの話題に移ってほしい。