怖すぎると声も出ない。
あぁここで私の人生終わってしまうんだ
異世界で終了ってどーよ。
カレーもスタバも連ドラもさようなら。
てか最後がドラゴンの背中で王に短剣で刺されるって、想像もつかない終わり方だった。

秒単位の短い時間でグルグルと色んな事を思ってしまう。
ふと横を見ると
リアムと目が合った。
リアムは半分泣きそうな顔で何かを叫んでる。
冷酷騎士団長様に泣きそうな顔は似合わないよ。ラストにいいもの見せてもらったかも。

リアム

本気で本当にすっごく
大好きだった。
知らないうちに涙があふれる。

もう一度
その胸に抱かれたかった。

これが私の運命なのか
深く深呼吸して覚悟を決めた瞬間

ぐわーんと身体が放り飛ばされた気分になった。

友達に嫌々誘われたウォータースライダーで順番待ちをしていたら、いきなり気持ちの準備のないまま背中を押された感じに似ている。ガン泣きであまり覚えてないけれど。

私の身体を押さえつけていたアレックスの姿は見えなくなり、私は乗り物酔いになる暇もないくらい身体を揺らしていた。

どうやらフレンドが号泣しながら、私を背にのせ空で暴れているらしい。

「いやちょっと!フレンド落ち着きなさいっ!」
フレンド!ハウスっ!

一歩間違えて落ちたら、これも間違いなく命はない。
フレンドのたてがみを必死でつかみ、心臓バクバクさせながら私は空を飛んでいた。