「ありがとう」 彼はそそくさと席を立ち ポケットからマンションの鍵を出す。 そして 「これ、いらないだろう」って、テーブルの上のゼクシィをつかんで逃げるように部屋を出て行った。 おいっ! それ持って行くんかい! 式を挙げる気なんかい! くやしいーーー! 「転んでゼクシィに頭ぶつけて死ねっ!」 大きく部屋で叫ぶと、扉の奥で階段から足を踏み外したような叫び声が聞こえた。 ざまみろ。 本当にざまみろ。 あ……やっぱり泣ける。