「私は何もできない。瞬間移動もできないしペンさえも動かせない。剣だって使えないよ。練習してもきっと上達しないで下手で終わりそう。何もできないもん。たまたま剣を抜いたけど、私が抜いてごめんなさい。もっと魔法が上手で完璧な人が抜く予定だったのに」

「リナ」

「戦いなんてした事ないし、見た事だってない。絶対足手まといになっちゃって迷惑かけて、そして戦うなんて怖くてできない」
足が震えて身体もガクガクしてきた。

「私には無理だよ。絶対無理だよ。リアムだってそう言ってたでしょう」

「リナ」

「私なんて……」

「リナ!」
リアムが私より大きな声を出し、崩れる私を抱きしめた。

ぎゅっときつく
強く優しく
守るように私を包み込む

強く抱かれて震えが止まる。

「巻き込んですまない」
私より苦しそうな声で謝るリアム。

「必ず。必ず俺がリナを守る」
もう一度ギュッと抱きしめてから、そっと身体を離して私の頬を触りジッと目を見つめる。

嘘偽りのない澄んだ瞳。

「リナを巻き込みたくなかった。それは本当だ。俺も王様も本当は巻き込みたくないのだが、リナの力が欲しい」

凛とした声は真実しか言わない。