奥まで進んで見つけたのは
ゴージャスな剣。

それこそ金貨の山があって
その頂点にグサッと突き刺されてあった。

何て綺麗な剣なんだろう。
ゴールドの持ち手に宝石が輝き
シルバーの鋭い刃は鏡のようだ。

近寄ってジッと見てるとシルフィンが説明してくれた。

「これは勇者の剣と言います。誰もこれを引き抜いたものはおりません。どんなに魔法の力が強くても、力じまんであっても、王様でもリアム様でも騎士団でも街の者でも、誰も剣を引き抜く事ができない魔法の剣です」

あーなるほど
勇者あるあるだ。
アーサ王伝説とかなかったっけ。

剣を引き抜いた者は真実の勇者ってヤツだ。

「何百年もこの状態と聞いております。扉が開いた時に沢山の者が挑戦しますが、今年も誰も成功者はおりません。王様もリアム様も毎年挑戦しますが成功できません」

今年こそは成功させたかった
そんな悲しいリアムの気持ちが届きそう。

「城の象徴みたいなものです。王様がお呼びになってました、参りましょう」

「そうだね」

私は軽くそう返事してから
遊びで刺さっている剣に引き寄せられるように手を伸ばす。

妙に惹かれる。
うっとりするぐらいの美しさで、触りたくてウズウズしちゃう。
どうせ外れないからいいよね。

シルフィンも私が手を伸ばしたのを見ても笑ってる。
私も笑いながら剣を握り
ちょっとだけ力を入れると

金貨の山が崩れた。

そして私の足元も崩れて見事に転ぶ。