それから10日ほどたった頃。
玉井さんの予定とあたしの予定が合って、やっとあの日のお金を返すことができることになった。
玉井さんが、あたしの家の近くまで行きたいということで、あたしの家の近くのカフェで10時に会うことになった。
「すみません、おまたせしました。」
あたしが入店してから数分で、玉井さんがやってきた。
背が高くて、整っている顔立ちの彼は、入店早々、お店にいたお客さんの視線を集めていた。
「わざわざありがとうございます。
これ、この前の。」
あたしの前の席に座った彼に、封筒を差し出す。
「ご丁寧にありがとうございます。」
「いえ。」
「あの。」
「はい?」
「お金の貸し借りがなくても、また会ってもらえますか?」


