「なんとなくだよ。人に怪我させておいて、知らないふりをしていることに腹が立って、なんとなく。
そんで、誰がやったのかなーって思って、周りの人たちに聞いたら、君とあの人たちが歩いてるのを見たっていう人から、たまたま話が聞けて。
こんな答えでいいかな?」
「・・・はい。」
なんとなく・・・か。
まあそんなもんだよね。
別に深い意味なんてあるわけないし。
うんうん。そうそう。
「あ。それで、先輩の話っていうのは・・・?」
「あぁ。それは・・・」
先輩はそこで言葉を切って、クローゼットを開け、なにかを取り出す。
「え。それって・・・。」
「ウェディングドレス。」
「ですよね。」
「うん。ですね。」


