「・・・はい?」
「あれ?聞こえなかった?お馬鹿さん。」
「またバカって・・・!
聞こえてますー!」
「んじゃよろしく。」
先輩はそれだけ言うと、永渡さんと話しながらどこかへ行ってしまう。
ひとり取り残されたあたしは、手のひらにのっかっている鍵を見つめながら、しばらく立ちつくしていた。
それから数分。
やっと動き出したあたしは、鍵を受け取ってしまった以上、五十嵐先輩に言われた通り、先輩のアトリエへと向かうことにした。
この前行ったし、きっといけるはず・・・。
「ここだよね・・・?」
学校を出て10分ほど歩いて、見覚えのあるアパートの前にたどり着く。
そして、きっとそこであろう先輩の部屋に鍵を差し込む。


